活動報告 Activity Report
CTIC通信第282号:典礼を核として 元寺小路教会典礼部会に学ぶ
2024年11月12日
9月29日~30日、仙台教区カテドラルである元寺小路教会で、「難民移住移動者委員会全国研修会」が開催されました。東北大学ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン推進センター講師の李善姫さん、ガクタン・エドガル司教様による講演のほか、「ベトナム共同体」、多国籍・多宗教コーラスグループ「I SING FOR JOY」、「仙台教区移住者司牧センター」など、現場で取り組む方々から、盛り沢山の報告がありました。その中から特に感銘を受けた「典礼部会」の活動についてご紹介したいと思います。
仙台市は、在留する外国人の在留資格の中で、「留学」の資格を持つ人が一番多い街です。そのため、若く、そして、日本語を話すことのできる人が少なくありません。
月に一度の典礼部会には、典礼音楽、祭器室、聖歌奉仕などの奉仕職担当者の他に、マンスリーインターナショナルミサ、英語、スペイン語、ベトナム語、韓国語、タガログ語のミサグループの代表者が必ず参加します。典礼部会というと、私はミサ等に関する内容や役割を決定、確認する部署という曖昧なイメージを持っていたのですが、元寺小路教会の典礼部会はそれとは少し違っていました。
まず、「小教区運営会議」の報告と説明が行われます。7月の部会では、コロナ対策の緩和や、エレベーター工事、防災訓練の予定などが紹介されました。これらの情報は、参加している各言語代表者によってSNSで拡散されるため、言語の壁を越えて、情報が多くの小教区メンバーに行きわたります。「侍者のつどい開催」のお知らせがすべてのメンバーに周知された結果、ソロモン諸島、ベトナム、ペルー、韓国、カナダの子どもたちが参加の機会にめぐまれ、現在はその子たちが日本語ミサの侍者も担当するようになっているという事例が紹介されました。
多言語の方々が集まる場では、日本語を話す人たちから外国語を話す人たちに分かってもらう(分からせる?)ための「情報伝達」になりがちですが、元寺小路教会では、外国語コミュニティーの側からも活動についての報告や発言が行われています。それは、外国語ミサは「外国人のためのミサ」ではなく、「外国語で行われている元寺小路教会のミサ」で、日本語を話す人たちにも開かれたものだという認識に基づいています。聖堂の入口には10月にスペイン語ミサで行われるペルーの伝統行事「エル・セニョール・デ・ロス・ミラグロス」について、日本語で説明されたチラシが置かれていました。
また、「ミサのなかでカンパネラ(鐘)を鳴らすかどうか」の協議では、各国の実施状況を紹介し合い、ああでもない、こうでもないと意見交換が行われ、最終的に「カンパネラを鳴らすこと」を決定したプロセスが紹介されました。 元寺小路教会典礼部会の活動を知り、元寺小路教会の皆さんと2日間活動を共にするなかで、「典礼は教会の活動が目指す頂点であり、同時に教会のあらゆる力が流れ出る源泉」(典礼憲章10)であること、共同体のメンバーが相互に受け入れ合い、協力し合う交わりのプロセスが、それを作り上げるために欠かせないものであることを実感させられました。すばらしい2日間を心から感謝しています。
相談員 大迫こずえ