活動報告 Activity Report
CTIC通信第281号:「新しい協力の道」~いっしょに働くために~
2024年10月08日
「外国籍の修道者が多く参加されていますね」
昨年11月に宗教法人事務勉強会の会場を見た時に、この言葉が口にのぼりました。この勉強会は、毎年開催されており、午前中の内容は、「宗教法人の基礎知識」「宗教法人の会計・勘定科目」などについてです。午後に学びを通して見えてきたそれぞれの修道会が抱える課題について分かち合いを行い、意見を交換します。毎回、勉強会の終わりに参加者にアンケートを実施して、その意見をもとに次回の勉強会の内容を検討します。そのようにして長年続けられてきました。
昨年の勉強会には外国籍の修道者が多く参加されていたこともあり、アンケートの中に「外国籍の修道者にも分かりやすい言葉で宗教法人の事務について説明してほしい」という意見がありました。近年、多くの修道会は高齢化に加え、召命がほとんどありません。そのため、大勢の外国籍の修道者が日本の宣教のために宣教師として来日しています。将来を考えて今から修道会の事務を外国籍の修道者に引き継いでいこうとする動きがあります。
宗教法人事務委員会のメンバーは、話し合いの中で「外国籍の方々を対象にした宗教法人事務勉強会」に挑戦することを決めて、今年の7月に実施しました。内容は、「日本の行政機関の組織図、宗教法人の立場、非課税等について」「所轄庁への提出書類の内容」「勘定科目を中心とした会計の基本」についてです。
宗教法人に関する用語は、やさしい言葉に置き換えると分からなくなってしまうので、そのまま伝えることになりました。ただし、資料にはすべてふりがなを付け、後でそれぞれの用語を調べることができるようにしました。また、政府や行政のウェブサイトでは「やさしい日本語」で説明しているものもあります。それらを活用して、ゆっくりと細かく具体的な例を挙げながら説明しました。
運営や管理のこれからの担い手が外国籍の方々になっていく現実は、何も修道会に限られたことではないように思います。小教区や地域社会でも同じような現実に直面しているのではないでしょうか。では、私たちはそのような現実を前にしてどのように準備していけばよいのでしょうか。
まず、第一にコミュニケーションをよく取り、話し合いの場をもつことです。第二に、相手に対する尊敬の心で、お互いの言葉に耳を傾け合うことです。そして第三に、これまでの伝統を心に留めながらも、それに捉われることなく、お互いに協力できる新しい道を探し求めていくことです。
お互いの言葉に耳を傾ける姿勢は、イエスが出会う人々に対して行なっていた姿勢に通じるものがあります。イエスの弟子として、私たちはどれだけ相手の困難な立場を理解し、心を寄せていくことができるのかが問われているのかもしれません。
弱さをもった私たちは、相手の言葉に耳を傾けることができずに、自分の殻に閉じこもってしまうこともあるでしょう。また、いくら私たちが心を開いても、相手が私たちの言葉に耳を傾けずに頑なになってしまうこともあるかもしれません。そのような時にこそ、時間をかけてゆっくりとかかわりを保ちながら、お互いに協力していく道を探し求めていく必要があるのでしょう。イエスがそのような困難を体験しながら、神の愛を伝えていったように……
ボランティア
萩原義幸 (レデンプトール修道会)