Activity Report

CTIC通信第270号:ポストコロナの食料支援

2023年08月01日

コロナの感染症法上の位置付けが「5類」に移行して3カ月、CTICの「生活困窮者のための食料支援」には、これまでにない変化が起きています。

コロナ禍で収入が激減し、食料支援を求めていた人たちが次々と「卒業」する一方、新たに支援を求めて来られる方が増えているのです。入国制限などの水際措置が緩和された後に入国したアルジェリア、エジプト、チュニジア、モロッコ等のアラブ諸国の方々で、8月の予約表の50%以上が彼らの予約で埋まっています。 彼らは来日直後に難民認定申請を行っており、書類審査を経て「就労許可」が出るまでの待機期間を過ごしています。祖国から持ってきたお金や支援金で暮らしているのですが、日本の物価高が彼らの生活を圧迫しています。

これまで私たちはアラブ諸国の方々とあまりお付き合いがなかったため、彼らの食文化に対する知識が十分ではありません。そのため、毎日、彼らの好みや料理法を聞きながら提供する食料品を検討しています。例えば、これまでミャンマーやインド、バングラデシュの方に喜ばれていたレンズ豆やツールダールではなく、彼らの嗜好に従ってひよこ豆やレッドキドニーも準備し、選べるようにしました。また、米も主食として摂る習慣がなく、「まだ日本の米の調理法がわからない」とのことですので、米を減らしてパスタに切り替えています。

アラビア語しか話せない方が少なくないため、このような聞き取りもスマホアプリを駆使して行います。CTICが必要としている情報は、難民申請に求められるような厳密なものではなく、生活上の必要や困窮具合を知るためのものですので、ジェスチャーを交え、時には大笑いしながら行っています。

彼らがイスラム教徒であることも私たちにとっては新たな挑戦となっています。イスラム教徒は、豚肉だけでなく、調味料に含まれる豚由来の成分(乳化剤、ショートニングなど)や酒・アルコール、イスラム法の手順に沿った処理をしていないものも食べることが禁じられています。これまでにもイランやバングラデシュ出身のイスラム教徒の方が「食料支援」に来られていましたが、彼らは皆日本に長く住んでおり、日本で流通している食品を自分の信仰生活に合わせて利用することのできる人たちでした。しかし、新来の方にそれは困難です。そのため私たちは、認証機関がハラル(Halalは、アラビア語で「イスラム教で許されたもの」の意)であると認めた「ハラルマーク」の付いた食品を一定量準備することにしました。また、ラーメンやレトルト食品、調理された缶詰などの加工品は避け、野菜や卵の他に、パスタやクスクスを増やしています。

「生活困窮者のための食料支援」が、その戸を叩く一人ひとりの生きる権利、信仰の権利を守るにふさわしいものであるよう、祈りのうちに試行錯誤を繰り返す毎日です。

相談員 大迫こずえ

現在、CTICが募集している食料品は次の通りです。
●全てのハラル食品
●パスタ(マカロニ以外)
●クスクス
●トマト缶
●ツナ缶

 

ハラル認証マークの付いたハラル食品。最近ではスーパーやネットで購入しやすくなっている