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CTIC通信第269号:聖スカラブリーニの記念日

2023年06月30日

世界中で移住移動者のために働く聖カルロ・ボロメオ宣教会(通称スカラブリニ会)の創立者であるジョン・バプティスト・スカラブリーニは昨年10月9日に教皇フランシスコによって列聖されました。今年の6月1日は移住者の父と呼ばれる聖スカラブリーニの列聖後最初の記念日にあたり、スカラブリニ会員が働く世界各地で記念日が祝われました。日本では3人の会員が東京教区とさいたま教区で働いており、毎週多くの外国からの信者が集まっている目黒教会で聖人の記念日のミサが英語で捧げられました。

聖スカラブリーニは1839年にイタリア北部コモ県のフィーノ・モルナスコに生まれました。司祭に叙階された後、神学校の教授、小教区の主任司祭を経て1876年に37歳の若さで教皇ピオ9世によってピアチェンツァの司教に任命されました。司教として人々への愛徳に燃え、特に貧しい人や助けを必要としている人のために熱心に活動し、いくつかの組織を立ち上げました。また信者の信仰教育にも力を注ぎ、このため要理教育の使徒とも呼ばれています。司教として教区内の教会を訪問しているうちに、スカラブリーニは教会から信徒たちが姿を消していることに気づきます。その人たちがなぜ教会からいなくなったのかを調べるうちに、多くの信徒たちがミラノ駅に押し寄せ、そこから汽車でジェノバ港まで行き、ジェノバから船に乗っていることを知りました。貧しい人たちが、よりよい生活を夢見てアメリカ大陸へと渡っているのでした。国を去って行くその人たちが新しい地で、自分たちの信仰や文化を失ってしまうことを憂えたスカラブリーニは1887年に、移住して行く人たちの信仰や道徳における司牧、また生活や法律面での援助を目的として、カルロ・ボロメオ宣教会を設立しました。

スカラブリーニによって設立された会はやがて、アメリカ大陸だけではなく、オーストラリア、アジア、アフリカへと活動の場を広げ、移住者、難民、船員、移動者のための奉仕を会の主な活動としています。

聖スカラブリーニの聖遺物

ところで、今回の記念日のミサでは、ローマにある会の本部から日本の会員のために贈られた聖スカラブリーニの聖遺物が顕示されました。ミサの参加者はしばらく遺物の前で祈り、聖人の取次を願いました。スカラブリーニの司教としてのモットーは「私をすべての人にとってすべてのものにしてください。すべての人をキリストへと勝ち得るために。」でしたが、その志を継ぐ会員たちも、それぞれの場での活動によって、創立者の後に続きたいと思います。日本で活動する会員は3人ですが、日本社会には今後も多くの海外からの移住者がやって来ることが予想される中、スカラブリニ会もこの地でより一層働くことができればと希望しています。

エドウィン・コロス
CTIC副所長・スカラブリニ会

 

ミサ後の記念撮影