活動報告 Activity Report
CTIC通信第264号:皆様の力でミャンマーを助けてください
2023年01月03日
◆いつの頃からか、東京のターミナル駅周辺で、街頭募金活動を行うミャンマー人グループの姿を頻繁に見かけるようになりました。民主派政権(NUG)や国内避難民を支援する募金活動とともに、次第に関心の薄れて行くミャンマーの状況を知ってもらうための活動です。どこの現場でも若い人たちが声を張り上げて繰り返しているフレーズがあります。「皆様の力でミャンマーを助けてください」
◆技能実習生や留学生としての活動を終了したものの、帰国できずに日本にとどまっている人たちがいます。日本政府はミャンマー国内における情勢不安を理由に、帰国することができないミャンマー人に対して、「緊急避難措置」として在留資格を付与する方針を出しました。しかし、その在留資格は生活が十分に保障されるものではありません。
実習生として来日したKさんは、教師として教壇に立っていた弟が軍事独裁政権に抗議し、職場を放棄する「非暴力・不服従」運動に参加したため軍に追われるようになりました。Kさん自身もNLD(国民民主連盟)の活動に参加していた経験から帰国は危険だと判断し、同じミャンマー出身の婚約者と日本で家庭を築くことを決めました。Kさんは積極的に区役所や保健所に通って情報を集め、出産費用について相談し、出産後できるだけ早く働けるよう保育園を申し込み、準備を整えました。さらに、臨月には日本語能力試験に挑戦しました。Kさん夫婦に元気な男の子が誕生したのはクリスマスの朝でした。ミャンマーの名前とともに、平和を祈って「和祈(かずき)」という通称名をつけました。Kさんは出産の2ヶ月後から、牛丼で有名なチェーン店で働いています。
CTICでは、昨年からKさんと同じように、日本で家庭を作ることを選んだ4人のミャンマー人妊婦さんの出産に関わっています。どのお母さんからもその覚悟が伝わってきます。
◆日本各地で働く約60人の若いミャンマー人女性たちの「生活指導員」として働くミャンマー人のMさんが仲間に呼びかけ、冬のコートやセーターなどの衣類を集めていると聞いたのは11月の初めことでした。新型コロナウイルス感染症による来日の遅れ、円安、さらに政情不安に起因する餓死者が出るほどの不況などのため、実習生たちは自分の生活をぎりぎりまで切り詰めて送金しており、冬物衣料の購入は大きな重荷となっているからとのことでした。Mさんとミャンマー人仲間だけでは人数分を集めるのに時間がかかり、冬の到来に間に合いそうになかったので、聖心女子大と清泉女子大のボランティアセンターに事情を話して協力を求めました。二つの女子大からの衣類が実習生の手元に届いた翌日、東京は今年の冬一番の寒さになりました。もらったばかりのコートは、寒い朝の出勤から実習生たちを守ってくれたそうです。
「皆様の力でミャンマーを助けてください」彼らの叫びが私たちの日々の暮らしの中に響き続けますように。
大迫こずえ
東京のミャンマー寺院での結婚式。※写真は本文とは関係ありません。