Activity Report

CTIC通信第260号:助祭たちのCTIC訪問

2022年08月03日

毎年、東京カトリック神学院の最終学年である助祭コースに在籍の助祭、助祭叙階予定者が司牧の現場見学の一環としてCTICを訪問します。わたしも16年前に見学したことを覚えています。その時のCTIC事務所は総武線の亀戸駅近くの、フィリピンパブなどが入る雑居ビルの中にありました。これは生活上の困難にある外国籍の人が相談に来やすい場所に出向くという意味がありました。私たちが助祭研修に訪ねた時には、「お店」で働く女性が日本人との間に子どもを妊娠した途端に相手と連絡が取れなくなったという相談への対応をスタッフが協議していたのを覚えています。その後、経費の問題などもあり、現在は目黒教会の中に相談部門も移りました。その間にCTICに来所される方の国籍も、相談内容も多様化しています。住んでいる場所も様々なので、品川の出入国在留管理局からも近い目黒も、ある意味で好立地と言えるかもしれません。相談内容の変化としては、例えば子どもの出産や養育に関することは、かつては当事者の一方は日本人でしたが、近年はほぼ外国籍の方同士という状態になっています。

さて今年も各地の教区、修道会に所属の7人の方がCTICを訪問されました。長年相談活動に携わってきたスタッフがCTICの活動の変遷や最近の外国人支援の課題について日ごろの活動の経験をもとに説明し、また、カトリック教会として社会問題に関わる意味についての思いを語ってくれました。カトリックの信仰に基づく活動である限りは、すべての人に与えられている神の子としての尊厳を大切にするということであり、それは相談に来る外国籍の人たちの尊厳にとどまらないのであり、特定の誰かだけを尊重したり、誰かを敵として批判すればよいというものではない、この点を私たちはいつも心に留めて活動を識別していかなければならないと思っています。

CTICの前で 助祭、助祭叙階予定者たち

助祭コースの皆様は熱心に聞いてくださり、質問も出されました。例えば、衣類の寄付をする時の注意点は? という質問にはいつも食料や物資の支援で直接、来所される方と関わっているスタッフが答えて、支援を受ける方も日本社会に暮らしており、とにかく着られればよいというものではなく、新品や新品同様でとお願いしたいことや、男性用のズボンはサイズの点で活用が難しいことが多いことをお話ししました。ちなみに、こういった事情でCTICでは衣類のご寄付につきましては、個別にお問合せいただいております。

また今回の助祭訪問では、CTICの活動だけではなく、目黒教会主任司祭のカマチョ神父様が、京都教区の教会で司牧されていた時に、新しくやってきたベトナム人の若い信者たちと、古くからの日本人信者たちの一致を少しずつ育まれた経験を分かち合ってくださいました。そして最後には目黒教会の祭壇の司祭が立つ側に一人ひとりを呼んで、そこからの景色を見せ、もうすぐ司祭としての奉仕することになる方々を励ましておられました。

助祭コースの皆様。教会は皆様を待っています。

高木健次
CTIC所長

スタッフの説明を聞く助祭、助祭叙階予定者たち