活動報告 Activity Report
CTIC通信第257号:東京でフィリピン宣教500年を祝う意味
2022年05月06日
4月2日カテドラルにおいて、菊地大司教様の司式のもと、フィリピンのキリスト教宣教500年を記念するミサがCTICの呼びかけで行われました。フィリピンに初めてキリスト教徒がやってきたのは、1521年の復活祭の直前ということですから、500周年は昨年ということになります。しかしフィリピンの教会はこの大きな出来事を数年かけて、様々な行事を通して深めてきており、今年の4月にその締めくくりのミサが行われるということで、東京でもその機会に記念のミサがささげられたというわけです。当日は、新型コロナウイルス感染予防のための人数制限があるなか、200人余りが参加しました。ミサに先立ってキリスト教が伝来した出来事を紹介する短いビデオ上映があり、続いて横浜教区からのグループがテーマソングを披露してくれました。祭壇の前にはフィリピン人の信仰を象徴するサント・ニーニョ(少年の姿のイエス)、聖母マリア、ちょうど当日が記念日にあたっていたフィリピンで2番目に列聖された殉教者、聖ペドロ・カルンソの像と共に、マニラで帰天した福者高山右近の像が置かれ、日本とフィリピンの教会のつながりを表しました。ミサは英語で行われましたが、共同祈願では、フィリピンで話されている様々な言語と日本語で捧げられました。菊地大司教様は説教の中でキリスト教宣教500周年をむかえたフィリピンがアジアで唯一のキリスト教国となっており、さらに世界中に居住するフィリピンの信者たちが福音宣教の担い手となるよう神によって遣わされたとして、お祝いと励ましを述べられました。
日本においても、日曜日のミサにフィリピンからの信者たちの姿が見られるようになってすでに30年以上が経ちました。中には日本で結婚し家庭を持った方もおられ、日本の教会におけるフィリピン人信者の歴史と結婚生活の年数がほぼ同じという方も少なくありません。例えば、結婚生活において一方が相手に実家のことは忘れて自分の方にだけ合わせることを求めるならば、家庭を築いていくことはとても難しくなるでしょう。教会づくりにも同じことが言えると思います。東京教区が、「お前はこの家に嫁いだのだから、この家のやり方に合わせろ」というような家庭になってほしくはありません。今回は人数制限もあり参加者のほとんどがフィリピンの方でしたが、ある人たちにとっての祝いを他のメンバーも一緒に祝うようになったらよいと希望します。その意味で菊地大司教様を初め、共同司式にフィリピン人以外の司祭も参加してくださったことには意義があると思います。私たちは国ごとの教会ではなくカトリック普遍の教会ですが、それぞれのルーツを尊重することは普遍性を傷つけるのではなく、むしろ真の普遍的一致への前提ではないでしょうか。
CTIC所長 高木健次