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CTIC通信第254号:CTICのベビーブーム

2021年12月29日

CTICでは妊婦さんや生まれたばかりの赤ちゃんを抱える人たちからの相談が増えており、ちょっとしたベビーブームが起きています。ベビーブームというと昭和20年代の、終戦の安堵と希望から生まれたものを思い浮かべますが、CTICのベビーブームはそれとは全く雰囲気の異なるものです。新型コロナウイルス感染症蔓延やミャンマーの内戦により祖国に帰国できない若い人たちの間で起きているものだからです。本来なら親元で、両親や親せきの方々に助けられ見守られながら新しい命の誕生を心待ちにして過ごす希望に満ちた時期を、日本という文化の異なる場所で、夫婦だけで、出産費用や赤ちゃんの衣類の心配をしながら、自分たちの家庭を作ろうとしている人たちが主役だからです。

そんな方々から出産や出産の準備についていろいろ尋ねられた時にきちんと返答ができず困っていたところ、「私にできることがあったら手伝いますよ」と連絡をくれたのが、6月に2人目のお子さんを出産したばかりの、ラテンアメリカ出身のRさんでした。幼いころに来日し、日本で育ったRさんですが、彼女も初めての出産を、夫婦だけで乗り切った女性です。早速、出産を間近に控えた2人のミャンマーの妊婦さんと配偶者のための「マタニティクラス」(母親学級・両親学級)を彼女にお願いしました。目黒教会内の一室で、いくつかの小教区からいただいた妊婦さんや赤ちゃんのための雑貨や衣類を使って行われたマタニティクラスには、Rさんの5か月の赤ちゃんも参加したため、おむつ交換などの実習も行うことができ、参加者は大喜びでした。「入院に必要なものは?」「真冬に生まれる赤ちゃんのためにどれくらい衣類が必要?」「哺乳瓶は耐熱ガラスとプラスチックとどちらがいい?」「腰痛が辛いけれどどうすればいい?」など質問は尽きませんでした。

マタニティクラス

 

Rさんは、「日本で一番つらかった時期、その時間がずっと続くように感じて絶望していたけれど、そんな時間は永遠には続かなかったし、今はとても幸せです」など、自身の体験談を語りながら妊婦さんたちを励ましてくれました。

東京都で出産する場合、妊婦検診や出産入院の自己負担額が、健康保険加入者でも23万円以上かかると言われています。健康保険に加入できない人は、どんなに安く見積もっても80万円は準備しなければいけないとのことです。さらに衛生用品製造メーカーの調べでは、「新生児の育児用品には10万円以上かかる」とのこと。コロナ禍で収入が減少している外国人夫婦に準備できる額ではありません。そんな方々のために、いくつもの小教区の皆さんがマタニティ用品やベビー用品を準備してくださっています。また、近くに住む妊婦さんを継続的に支援し、励ましてくださっている小教区もあります。費用が準備できない方のために、日本カトリック管区長協議会・日本女子修道会総長管区長会からもご支援をいただいています。この厳しい時期の日本での出産が、ご夫婦と赤ちゃんにとって「それでもよかった」と思えるものであるために、今後も皆様の祈りと支援が必要です。

大迫こずえ

※現在、マタニティ及びベビー用品は在庫が十分ですので募集はしておりません。

ベビーバスの使い方