Activity Report

CTIC通信第253号:交わりから生まれた豊かさ

2021年12月07日

CTICの活動は多くの方のご寄付によって支えられていますが、先日も頂いたご寄付によって、小学生の体育着や上履きを購入することができました。それは、多くのご家庭では当たり前に買いそろえることができる物も、あるご家庭にとっては大きな負担であることに改めて気づかされる出来事でした。

約2か月前、CTICの食料支援を受けているミャンマーの方が、家庭の事情により急きょ引っ越すことになり、小学生の息子さんも転校することになりましたが、新しい学校が指定する体育着や上履き、帽子などを買いそろえる必要がありました。全部そろえると1万円以上になり、収入のない家庭にとっては大きな出費となります。準備ができないでいることにスタッフのシスターが気づいたのは新しい学校生活が始まる6日前のことでした。どうにかならないか、と思ったシスターは「子どもの特別の必要のために」寄付されたお金があることを思い出しました。それはシスターの所属する修道会を母体とする「典礼センターピエタ」の名前でご寄付いただいたものでしたが、このような時にこそ、その献金を使わせていただくのがよいのではないかということになりました。それは多くの方の協働の実りだったからです。

今年の春、コロナ禍の応援としてある民間企業から自社製品の消毒ハンドスプレーを無償で100本提供したいという話がシスターのところに来ました。シスターは、CTICに直接提供してもらうのも一つだけれど、この社会で生活に困っている外国籍の方がいらっしゃることを多くの人々に知らせ、協力していただくために活用することはできないだろうかと考えました。企業側の賛同も得て、シスターはピエタのシスターたちに、無償で提供していただくハンドスプレーを通して困っている方の存在を知らせ、献金の協力を求めることはできないか提案しました。この提案にピエタのシスターたちは喜んで協力してくれたそうですが、果たして訪れる方々が関心を持ち、実際に協力してくださるかどうかは全く未知数だったとのことです。しかし、蓋を開けてみると、信徒であるかないかを問わず、実に多くの方が関心を寄せ喜んで協力してくださったそうです。「コロナ禍で自分も何か協力したかったからこのような形で協力できることが嬉しい」という声が多く聞かれたことはシスターたちにとっても大きな喜びだったそうです。多くの方が少しずつ寄付してくださったお金でCTICにたくさんの食料が届けられました。そしてその一部は献金として「子どもの特別の必要のために」という意向で頂きました。今回、転校することになった小学生の体育着、上履きなどはここから使わせていただきました。

典礼センターピエタは、四谷駅前に新しく出来たビルの2階にあります。お店に並ぶクッキーやご像にひかれて子どもたちが多く訪れるそうです。お店の奥にはくつろげるスペースがあり、訪れる方々との交わりの場となっていました。この日常があって、多くの方の積極的な参加は実現し、交わりを通して豊かさを体験する機会になったのではないでしょうか。シスターたちも多くの方とつながる機会になったと話されていました。

学校の体育着や上履きなら誰かのポケットマネーで買うこともできるかもしれませんが、このように共に歩む交わりと一人ひとりの小さな参加はシノドスが掲げる「交わり、参加、宣教」を生きる一つの具体的なかたちではないでしょうか。

多くの方の善意が困難のうちにあるご家族を励まし、新しい学校で歩み始める小さな子供に大きな勇気を与えるものでありますように。

高木健次(東京教区)

 

献金で購入した食料品